コンクリート住宅の草分け
新築でも中古でも「立地」と「管理」に関する基本条件をどの程度充たしているかによってマンションを選ぶのが良いと思います。
ただし、「管理」に関しては新築と中古では得られる情報がまったく違ってきます。
中古マンションでは、すでに管理が行われているので、現場を見に行くことができますから、その内容を評価するのは比較的容易です。
ところが、新築マンションでは管理が始まるのはこれからということになります。
事前に入手できる管理に関する情報といえば、管理費、修繕積立金の金額や管理会社がどこかといった情報だけで、実際の管理力は管理が始まってみないとわからない、いわばお見合いで結婚を決めるような状況です。
これは、新築と中古のマンション選びの大きな違いです。
マンションでも自動車でも、日本では「新築」、「新車」が一番と思われています。
それは、私たちがマンションや自動車を消費の対象として選んでいたからではないでしょうか。
消費の対象としていたから、簡単に捨てたり壊したりすることに抵抗感がなかったのでしょう。
でも本当に価値のあるものは、長く住んだり、使ったりできるものだと思いませんか。
京浜急行羽田線で京急蒲田駅の次の停車駅である椛谷駅で下車し、商店街を抜けると8棟368戸の萩中住宅がありました。
大田区の萩中については、仕事で現地に通うようになるまで、私はほとんど知りませんでした。
しかし、通い始めてみると商店街には下町のような活気があふれでいて、近くには安くてうまい寿司屋やうどん屋、ハーブティの専門店があります。
5分も歩けば多摩川の土手で、川面を眺めながらの散歩コースも最高と、このまちがすぐに気に入りました。
建替え後も、8割の方が新しい住戸を取得して戻って来たのも、このまちに愛着を感じていたからでしょう。
この萩中住宅の建替え事業では、200戸を超える住戸が保留床として外部の第三者に販売されましたが、購入された方のほとんどが地元に住んでいる人たちでした。
較加組合員として保留床を取得してく官落ち着いた山の手の住宅街に住まいを求める人も。
好みはそれぞれ。
立地というものに対するマーケットの評価と、実際にその立地の魅力を知る層との聞に大きなギャップがあることを示していて、非常に興味深いものでした。
その土地のよさを知る人にとってはぜひ住んでみたいと思わせる魅力的なマンションでも、その地域を知らない人に立地の魅力を理解してもらうのは容易ではないのです。
マンションは修繕できても環境は修繕できない前にも触れましたが、築30年でマンションが建て替えられているのには特殊な背景があるからです。
今後、寿命がどんどん延びてくれば、必ず成熟した中古マンション市場が形成されて、中古マンションが新築マンションより高く評価されることもありうる時代がやってくるはずです。
では、その時に評価の対象となるのはなんでしょう。
私は、立地条件と居住者のコミュニティを含めた管理の実績であると思います。
では、「立地条件」と「管理」を具体的にどのような視点でどう見ていけばよいのでしょうか。
まず立地ですが、マンションがどのような場所にあるか、周辺環境はどうかなど、マンションを取り巻く立地条件は住まいとしての価値を決定する主要な要因です。
萩中とは違う、閑静な住宅街の落ち着いた町並みに建つマンションを望む人もいるでしょう。
しかし、下町に建っていようと山の手に建っていようと、建物は将来改修したり建て替えたりすることができますが、立地自体を変えることはできません。
立地は急激に変化することはほとんどありません。
新築であろうと中古であろうと、マンションがある立地の内容については、時間と手間さえ惜しまなければ、かなりの内容を調べることができます。
ですから、立地にはトコトンこだわるべきだと思います。
まず「まち」を選ぶでは、立地についてどのような基準で評価したらよいのでしょうか。
マンションを買うのは自分たちですから、不動産広告のような駅から何分で、近くのスーパーマーケットはどこで、といった定型的な情報よりも、十分な土地勘の働く場所や何度も訪れて周囲の状況がよくわかった場所を選ぶほうがずっと正しい選択ができると私は思います。
マンションのイメージに大きく関わるエントランス部分。
子どもの学校や幼稚園はどこか、どの商店街やスーパーで買い物をするのか、近くに図書館や品揃えのよいレンタルビデオ店はあるのか、休日の散歩コースはあるのか、春の桜が楽しめそうな公園はあるかなど、できるだけ具体的に地図を片手に歩いてみてはどうでしょうか。
毎日の生活はマンションの中だけで完結するものではありません。
むしろ、生活に潤いや小さな喜びを与えてくれるのは、「まち」の活気や日々の表情です。
気に入った「まち」を見つけてから、その近くに条件のよいマンションを探すほうが近道かもしれません。
ところで、立地を評価する時には、忘れずに周辺環境が将来どのように変化するのかについても十分に予測することが大切です。
マンションの隣接地が駐車場や未利用地であれば、将来この場所にマンションやピルなどが建つことは十分に予想される事柄です。
マンション選びのポイントマンションを選ぶ際のもうひとつの重要な条件が管理に関することです。
なぜ管理がマンション選びにとってそんなに重要なことなのでしょうか。
これからのマンションの価値を決めるものは、マンションの区分所有者間のコミュニティも含めたマンションの「管理」だと私が確信しているからです。
これからマンションの寿命はどんどん長くなるはずです。
マンションの管理を的確に行い、その寿命を長くすることがマンションの価値の向上につながるような仕組みづくりを行うこと、これがこれからの時代の大きな要請です。
このような時代の要請があるとすれば、マンションの価値を高め、健全なかたちでマンションの寿命を永らえさせるためマンション管理の重要性は飛躍的に増すはずです。
したがって、マンションを選ぶ時にも、「立地条件」とあわせて、管理の実力をしっかりと見極めて、選択を行うべきだ、というのが私の考えです。
ですから、管理規約をきちんと読み、管理業務を請け負う管理会社はどういうところなのか、その実績をきちんと把握しておくことが大事だと思います。
目先の安さにだまされない共有の財産であるマンションを維持するための適切な管理を行うには当然ながら相当の資金が必要です。
そのため、管理組合は区分所有者から管理費や修繕積立金を計画的に徴収し、これをもとに管理業務を行います。
したがって、適正な金額の管理費や修繕積立金は必ず計画的に徴収されていなければならないものです。
徴収する金額が低すぎたり、メンテナンスに対する意識の低いものは問題があるとみなさなければなりません。
新聞の広告などを見ていると、新築マンションで、よく管理費の安さや駐車料金の安さをセールスポイントにしている例があります。
マンションを購入する時には、さまざまな出費やローンが発生するため、管理費や修繕積立金などは安いほどよいと考えがちです。
この購入者の心理に巧みにつけ込んだ手口にはだまされないでください。
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